潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症が起こり、下痢・血便・腹痛などの症状が現れる病気です。20歳代の若い人に多い病気ですが、高齢になり発症することもあります。

原因は不明で、現在は完治する治療法がない病気ですが、適切な治療を続けることで症状のない状態を維持することができます。

潰瘍性大腸炎の経過

炎症が起こり症状が現れる「活動期」と症状が治っている「寛解期」があります。活動期と寛解期を繰り返すこともありますが、治療を開始し継続することで寛解の状態を維持することができます。

長期間経過すると大腸がんが発生する可能性があるため、定期的な内視鏡検査が必要です。

治療

治療法の種類

潰瘍性大腸炎の治療は、活動期の炎症を抑えて寛解に持ち込む「寛解導入療法」と、寛解を長期にわたって維持し再燃を防ぐ「寛解維持療法」に分けられます。

治療法には「薬物療法」「血球成分除去療法」「手術療法」があります。

薬物療法

・5-ASA製剤

大腸の炎症を抑える薬です。潰瘍性大腸炎治療の基本となる薬で、寛解導入療法・寛解維持療法のいずれにも使用されます。軽症〜中等症の場合、この薬から開始することが多いです。

・ステロイド

寛解導入療法に用いる薬です。免疫を抑えることで活動期の炎症を抑えます。様々な副作用が出るため、必要な期間に必要な量だけ使用されます。

・免疫調整薬

免疫反応を抑えることで炎症を鎮めます。ステロイド治療の効果が低い場合や、ステロイドを減量・中止すると再燃してしまう場合に使用されます。寛解維持療法として用いられます。

・カルシニューリン阻害薬

「カルシニューリン」という物質の働きを抑えることで免疫を抑えます。こまめな血液検査を行い血中の薬物濃度を測定し、用量を調節します。ステロイドが効きにくい場合の寛解導入に用いられます。

・生物学的製剤

炎症を起こす物質の働きや、腸へ炎症細胞が行くことを抑える薬です。ステロイド治療の効果が低い場合や、ステロイドを減量・中止すると再燃してしまう場合に使用されます。寛解導入および寛解維持療法として用いられます。

・JAK阻害薬

JAK阻害剤は免疫細胞の中のJAKという物質を抑えることで、炎症を活性化するサイトカインという物質の過剰な産生を抑えます。寛解導入および寛解維持に用いられます。

血球成分除去療法

血液を一旦体内から取り出して、炎症を起こす白血球を取り除き、再び体内に戻します。薬物療法で効果不十分な場合の寛解導入療法に用いられます。

手術療法

薬物治療では十分な効果が得られない場合や大出血、穿孔、中毒性巨大結腸症、癌化などの重大な合併症の場合には手術が適応になります。
潰瘍性大腸炎の炎症は大腸全体に起こるため、手術の際は大腸全体を摘出するのが基本です。最近では肛門を温存する方法が主流となっています。

予後・日常生活での注意点

潰瘍性大腸炎には、活動期と寛解期があります。治療をきちんと続ければ、ほとんどの場合寛解を維持することができますが、人によっては再燃を繰り返す場合もあります。また、発病後長期間たつと大腸がんを発症するリスクが高くなります。このため症状が落ち着いていても定期的な内視鏡検査を行い、早期発見をすることが重要です。

寛解期の食事については、高カロリー・低脂肪・低残渣・低刺激が基本となります。食べても問題ないものに個人差がありますので、少しずつ試しながら自分に合う食品を探す必要があります。寛解期であれば適度なアルコールを摂取可能な場合もあります。