ヨーロッパ肝臓学会

毎年4月にヨーロッパで肝臓学会(EASL)が開催されます。

秋のアメリカ肝臓学会と並んで肝臓の世界では2大イベントです。

今年のEASLは4月11日から15日までフランスのパリで開催されました。

EASLのウェブサイトによると日本からは159人が参加されたようです。

 

学会で発表された内容の主なものをまとめているサイトがありますので、それを見るとどのようなことが世界で話題になっているかを知ることができます。

 

C型肝炎ではエレルサ・グラジナやマヴィレットの発売後の結果、ウイルス排除後の発がんに関する検討、肝硬変患者に投与しウイルス排除した後の肝機能に与える影響などが主な話題のようです。

 

B型肝炎では新しい抗ウイルス治療薬の基礎的なデータや臨床試験のデータが発表されています。

 

NGM282という薬の臨床試験の演題もいくつかあります。

この薬はFGF19という人間の体の中にある物質に近い構造を持ちます。

肝臓の脂肪を減らすのが主な作用で非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)患者の脂肪肝に対して使用する臨床試験が行われており、今回12週間の治療で肝臓の脂肪が減っているという結果が発表されています。

この薬剤には脂肪を減らす作用だけでなく線維化を改善する作用もあるようで、原発性硬化性胆管炎(PSC)に対しても臨床試験が行われています。

PSCは胆管に炎症が生じその周囲に線維化が起こり、最終的に肝硬変となる病気です。

現在有効な治療はなく、肝移植が必要となります。

PSC患者にNGM282を12週間投与すると線維化の指標に改善の傾向が見られました。

長期間投与することで実際に線維化が改善すれば、PSCの治療薬として非常に意義があるものと思われます。

 

以上簡単に読んだだけの感想ですが、開業してからのわずか半年の間にも新たな話題がでてきており、置いて行かれないようにしたいと思います。

講演会に参加しました

今日は夕方から、阪神尼崎駅近くの都ホテルニューアルカイックで『伊丹・尼崎肝疾患懇話会』に参加してきました。

肝疾患懇話会という名の通り、B型肝炎とC型肝炎についての講演でした。

B型肝炎の演者は、大阪医療センターの三田英治先生です。10年以上前から非常にお世話になっている三田先生ですが、ご講演を拝聴するのはそういえば初めてのような気がします。B型肝炎に対する核酸アナログ治療についての話題が中心でした。

これまで核酸アナログはエンテカビルを主に使っていましたが、今後はHBs抗原陰性化率が高く耐性ウイルスの発現が少ないテノホビル系が主流となり、その中でも腎機能障害が少ないTAFに変えていくべきという趣旨でした。現在TAFは投与期間の制限があるため、忙しくて来院できない患者さんには処方しにくい状態です。長期投与が可能となればTAFに切り替える機会が増えるかもしれません。

今後の展望としてB型肝炎ワクチンやTLR7アゴニストの話題もでました。これらはインターフェロン以外で免疫系に作用するB型肝炎治療薬として期待されているとのことでした。核酸アナログと併用できればHBs抗原の陰性化がより高率に得られる可能性もあります。

 

次に大阪大学の竹原教授がC型肝炎治療について講演されました。

C型肝炎治療は直接作用型抗ウイルス薬(DAA)の登場により95%以上のウイルス排除率が得られるようになりました。20年前を考えると95%の患者さんでウイルスが排除可能となったことは夢のようですが、今後残された課題として、非代償性肝硬変患者に対する治療・ウイルス排除後の発がん・DAA治療不成功例(耐性ウイルスを持つ症例)などが挙げられます。これからも新たな薬剤が登場し、課題が一つ一つ解決されるものと思われます。

 

講演会の後の懇親会では、関西労災病院の林院長・萩原副院長、竹原教授に近況を報告しました。今後も良い報告をできるよう頑張りたいと思います。