高血圧とは

血圧測定は健康診断の項目に必ず入っています。それは、高血圧が様々な病気を引き起こすことがわかっているためです。

そもそも血圧とは、血管の壁にかかる圧のことです。体中に血液を行き渡らせるために心臓から血液が送り出されますが、心臓から送り出された血液の量と血管の抵抗(硬さ)により血圧が決まります。

高血圧が持続すると、血管の壁にダメージがたまり動脈硬化を引き起こします。これが心臓の血管に起こると心不全、狭心症、心筋梗塞を、脳の血管に起こると脳出血や脳梗塞を、腎臓の血管に起こると腎不全を引きおこすことになります。

健康な人の血圧は収縮期血圧(いわゆる”上の血圧”)が140mmHg未満、拡張期血圧(いわゆる”下の血圧”)が90mmHg未満です。この基準を超えた状態が続くと高血圧症となります。ではなぜ140/90mmHgを超えると問題になるのでしょうか。

ある地域の住民を対象に長期間経過を観察した研究の結果、血圧が高いと心臓の病気にかかる率が高く、死亡率も高いことが明らかとなりました。収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上の人ではそれ以下の人よりも明らかに心臓の病気で亡くなる割合が高かったため、140/90mmHgが高血圧の基準となりました。

また血圧が高い人の血圧を薬で下げることで合併症の起こる確率や死亡率を下げることができることも明らかとなりました。このため高血圧に対する治療は命を守るために必要な治療となっています。

厚生労働省の調査によると、高血圧の総患者数は1,010万8000人です(「平成26年患者調査の概況」より)。このうち男性が445万人、女性が567万6000人でした。

高血圧は自覚症状を感じることは少ないため、機会があれば血圧を測定し、ご自身の血圧がどれくらいかを把握しておくことが重要です。

高血圧の種類

高血圧症には本態性高血圧と二次性高血圧があります。

本態性高血圧

高血圧のほとんどが本態性高血圧です。二次性高血圧のように血圧が上昇するあきらかな原因となるものがないものをいいます。原因がないとはいえ、加齢、塩分の取りすぎ、肥満、ストレス、喫煙、運動不足、体質が要因となって発症します。

二次性高血圧

本態性高血圧と違い、何らかの原因により高血圧となる病態です。腎臓の血管が細くなることで起きる腎血管性高血圧や、ホルモンの異常による原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫のほか、睡眠時無呼吸症候群、薬剤による高血圧などがあります。

高血圧の治療

薬物治療

血圧を下げる薬は、その効果を発現する仕組みによって幾つかの種類に分けられます。一つの薬だけで十分な効果が得られる場合もあれば、幾つかの薬を組み合わせる必要がある場合もあります。薬の内容は患者さんそれぞれの血圧の程度や合併症により個別に処方します。

主な降圧薬の種類

カルシウム拮抗薬

血管を拡張させることで血圧を下げる薬です。副作用も比較的少なく広く使われています。足のむくみが出ることがあります。

アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)

アンジオテンシンIIは血管を収縮させ血圧を上昇させるホルモンです。ARBはアンジオテンシンIIの受容体に結合し、アンジオテンシンの働きを抑えることで血圧を下げる薬です。血圧を下げる作用に加えて、心臓や腎臓などの働きを保護する作用があります。

アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE)

ACEは血圧を上昇させる働きのないアンジオテンシンIを、血圧を上昇させるホルモンであるアンジオテンシンIIに変換するアンジオテンシン変換酵素を阻害することで、血圧を下げる薬です。副作用としては咳が見られることがあります。

利尿薬

腎臓から水分やナトリウムなどの塩分を体外に排泄することで血圧を低下させます。脱水、低ナトリウム血症などの副作用があります。

α遮断薬

交感神経に存在するα受容体の働きを抑えることにより、交感神経の刺激が末梢の血管に伝わることが抑制され、血圧が低下します。めまい、ふらつきなどの副作用が出ることがあります。

β遮断薬

心臓の交感神経に存在するβ受容体の働きを抑えて、心臓から送り出される血液の量を減らすことで血圧を下げる薬です。ふらつきや徐脈などの副作用があります。

生活習慣の改善

高血圧の治療には生活習慣の改善も重要です。

以下のようなことに注意しましょう。

  • 塩分をとりすぎない
  • バランスのとれた食生活を心がける
  • 適正な体重を維持する
  • 定期的に運動を行う
  • 禁煙する
  • お酒はほどほどに
  • 適度な睡眠をとる