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よくある大腸の病気とは?
大腸は消化管の終盤にあたり、水分の吸収や便の形成を主な役割としています。
様々な病気が起こりやすい部位でもあり、腹痛や下痢、便秘、血便などの症状が現れることが多いです。
しかし、症状が軽い場合や不定期の場合、本人が見過ごしてしまうことも少なくありません。
早期発見と適切な治療が進行や合併症の予防に重要です。
ここでは、当院で多く診断される大腸の代表的な病気について、その特徴や診断、治療法を詳しく解説します。
感染性腸炎
感染性腸炎はウイルスや細菌、寄生虫などの病原体によって大腸の粘膜に炎症が起こる病気です。
急性の下痢や腹痛、発熱などが特徴で、特に夏季や集団生活での感染が多い傾向にあります。
感染性腸炎の原因
感染性胃腸炎はノロウイルス、サルモネラ菌、カンピロバクターなどの感染が主な原因です。
汚染された食品や水、接触感染により広がります。
衛生管理の不十分な環境や免疫力が低下している場合に感染しやすくなります。
感染性腸炎の症状
突然の激しい下痢、腹痛、吐き気、発熱、倦怠感がみられます。
重症例では脱水や電解質異常を引き起こすこともあり、特に高齢者や小児では注意が必要です。
感染性腸炎の治療法
多くの場合は自然治癒を待ちますが、水分補給と電解質の補正が重要です。
細菌感染が強い場合は抗生物質を用いることもあります。
感染拡大防止のため、衛生管理と手洗いの徹底が必須です。
過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸症候群は、大腸に器質的異常がないにも関わらず、腹痛や便通異常が慢性的に続く機能性疾患です。
ストレスや生活習慣が症状に大きく影響します。
過敏性腸症候群の原因
腸の運動異常や知覚過敏、自律神経の乱れ、心理的ストレスが複合的に関与しています。
明確な病原体や組織の異常は認められません。
過敏性腸症候群の症状
腹部の痛みや不快感、ガス溜まり、便秘や下痢、便の残便感などが周期的に繰り返されます。
症状は食事や精神状態によって変動しやすいのが特徴です。
過敏性腸症候群の治療法
生活習慣の改善、食事指導、ストレス管理が中心となります。
薬物療法では腸の運動調節薬、整腸薬、抗不安薬などを使うこともあります。
心理療法やカウンセリングも効果的です。
急性虫垂炎・憩室炎
急性虫垂炎は盲腸の先端にある虫垂が細菌感染により急激に炎症を起こす疾患です。
憩室炎は大腸の壁にできた小さな袋状の憩室が炎症を起こす病気で、主に高齢者に多く見られます。
急性虫垂炎・憩室炎の原因
虫垂炎は虫垂内の閉塞や細菌感染が原因です。
憩室炎は憩室内に便などが詰まり、細菌感染が起こることで発症します。
便秘や食物繊維不足もリスクとなります。
急性虫垂炎・憩室炎の症状
虫垂炎では右下腹部の強い痛み、発熱、嘔吐、食欲不振が特徴的です。
憩室炎では左下腹部の痛み、発熱、便秘や下痢を伴います。
どちらも放置すると穿孔や腹膜炎など重篤な合併症を起こすことがあります。
急性虫垂炎・憩室炎の治療法
虫垂炎は手術で虫垂を摘出するのが標準的治療ですが、軽症例では抗生物質治療で経過観察することもあります。
憩室炎も抗生物質を中心に治療し、重症例や再発例では手術を検討します。便秘の予防や食事改善も重要です。
大腸ポリープ
大腸ポリープは大腸粘膜にできる良性の隆起物で、多くは無症状で偶然の検査で発見されます。
一部は徐々に大腸がんに進展する可能性があるため、適切な管理が必要です。
大腸ポリープの原因
遺伝的要因、食生活の偏り、肥満、喫煙などがリスクを高めます。
加齢と共に発生率も上昇しますので、40代以降には年に一度の大腸カメラ検査を受けましょう。
大腸ポリープの症状
ほとんど無症状ですが、大きなポリープや数が多い場合は血便や便秘、腹痛を引き起こすことがあります。
大腸ポリープの治療法
内視鏡的ポリープ切除が基本で、切除後は病理検査によりがん化の有無を確認します。
定期的な大腸内視鏡検査で再発や新たなポリープの発生を監視します。
大腸がん
大腸がんは大腸の粘膜から発生する悪性腫瘍で、日本での罹患率が高く、早期発見が重要な疾患です。
進行すると転移や腸閉塞を起こすリスクがあります。
大腸がんの原因
大腸ポリープのがん化、遺伝的要因、食生活の乱れ、肥満、喫煙、慢性炎症などが関与します。
大腸がんの症状
早期は無症状のことが多いですが、進行すると血便、腹痛、体重減少、貧血、排便習慣の変化などが現れます。
大腸がん検診や内視鏡検査での発見が生存率を左右します。
大腸がんの治療法
早期がんは内視鏡的切除が可能です。
進行がんは外科手術が基本で、必要に応じて化学療法や放射線療法を併用します。
定期的な検診と早期発見が治療成績向上の鍵です。
炎症性腸疾患(IBD)
炎症性腸疾患は自己免疫が関与すると考えられている慢性の大腸炎で、主に潰瘍性大腸炎とクローン病の2つがあります。
どちらも慢性的な炎症が続き、症状は再発と寛解を繰り返します。
炎症性腸疾患の原因
原因は完全には解明されていませんが、遺伝的素因や免疫異常、食生活、ストレスなどが複雑に絡み合っていると考えられています。
炎症性腸疾患の症状
下痢や血便、腹痛、発熱、体重減少、倦怠感が代表的です。
クローン病は小腸から大腸までどこでも炎症が起き、潰瘍や狭窄を伴うこともあります。
炎症性腸疾患の治療法
抗炎症薬、免疫抑制薬、生物学的製剤を用いて症状のコントロールを図ります。
重症例や合併症がある場合は手術も検討されます。
定期的なフォローアップが必要です。
