消化管出血とは
口から肛門までの食べたものの通り道を消化管といいます。口から順に口腔・食道・胃・小腸(十二指腸・空腸・回腸)・大腸(盲腸・結腸・直腸)・肛門に分けられます。この消化管から様々な原因で出血する状態を消化管出血といいます。
消化管出血は血便・下血・便潜血という形で起こります。
血便
血便とは便に赤い血が混じっている状態を表します。血液のみが排出される場合や、通常の便に赤い血液が付着している場合、トイレットペーパーに血液が付く場合など様々な状態があります。血便は主に大腸や肛門などの下部消化管からの出血の場合に起こります。胃や十二指腸からの出血の場合は、量が多いと血便となることがあります。
血便の原因となる病気
血便の原因となる病気には以下のようなものがあります。
- 痔
- 大腸がん
- 潰瘍性大腸炎
- 大腸ポリープ
- 虚血性腸炎
- 感染性腸炎
- クローン病
- 大腸憩室出血
- 放射線性腸炎
- 薬剤性腸炎
- 腸管子宮内膜症
症状から推測する原因
患者さんの年齢や随伴する症状などによって、血便の原因となる病気をある程度推測することができます。
10代から20代の若い人の血便の場合、潰瘍性大腸炎、大腸ポリープ(若年性ポリープ)、クローン病を疑います。逆に高齢者の場合は大腸がんの可能性が高くなります。
急な腹痛が起こったあとに出た血便の場合は虚血性腸炎の典型的な症状です。
女性で月経の時に一致して血便が出る場合は、腸管子宮内膜症を疑います。
下血
胃や十二指腸など上部消化管から出血した場合、便として排出されるまでの間に血液が胃酸や消化酵素により変化するため、黒い便(タール便)となります。
下血の原因となる病気
下血の原因となる病気には以下のようなものがあります。
- 胃がん
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
便潜血
明らかに出血がなくても、検査で便に血液が混ざっているとわかる場合があります。これが便潜血検査です。大腸がん検診に用いられています。2日分の便を調べる便潜血2日法では進行がんの約80−90%を発見することができるといわれています。
便潜血陽性の原因となる病気
便潜血陽性の原因となる病気には以下のようなものがあります。
- 大腸がん
- 痔
- 大腸ポリープ
消化管出血を調べるための診察・検査
消化管出血で受診された場合、診察のうえ各種検査を行います。
直腸診
肛門を観察した後に指を挿入し、痔や腫瘍の有無、便および血液の色を調べます。
胃カメラ
下血を認める場合は胃カメラを行い、食道・胃・十二指腸に原因となるものがないか調べます。
大腸内視鏡検査
血便や便潜血を認めた場合は大腸内視鏡検査で病気の有無を調べます。ポリープがあれば切除します。
消化管出血を認めた場合は重大な病気が原因となっている可能性があるため、必ず受診しましょう。