C型肝炎の治療についての論文

あけましておめでとうございます。

 

C型肝炎に対する治療はC型肝炎ウイルスを体内から排除することですが、10年ほど前までは治療が成功する確率は1型という治りにくい型のウイルスで50−60%程度でした。最近では治療薬が進歩し、1型と2型では95%以上治療が成功するようになりました。

日本人ではほとんどが1型か2型ですが、まれに3型の方がおられます。労災病院時代にも2人が通院されていました。治療薬が進歩しましたが、3型には比較的効きにくく、ウイルスの排除は80−90%程度に止まっていました。

今月のアメリカの肝臓学会誌『Hepatology』に3型に対する治療成績の論文が掲載されています。

 

対象:3型のC型肝炎ウイルスに感染した慢性肝炎または肝硬変患者

治療法:glecaprevir/pibrentasvir (商品名:マヴィレット)を12週間または16週間投与

結果:

治療歴あり・肝硬変なし・12週:91%

治療歴あり・肝硬変なし・16週:95%

治療歴なし・肝硬変あり・12週:98%

治療歴あり・肝硬変あり・16週:96%

 

 

3型に対する治療効果は良好な結果でした。この論文はマヴィレットの発売元であるアッヴィがサポートしているということ、著者のうち何人かがアッヴィから研究費をもらっているということがありますので少し割り引いて考える必要はあるかもしれません。

いずれにしても3型に対するインターフェロンを使用しない治療薬はマヴィレットしかありませんので、実際の臨床でもこの論文と同じような効果が出るのであれば使ってみたいと思います。

 

Hepatologyの論文を全文読むには普通は料金がかかるのですが、この論文は無料で読むことができます。アッヴィは太っ腹ですね。

講演会に参加しました

今日は夕方から、阪神尼崎駅近くの都ホテルニューアルカイックで『伊丹・尼崎肝疾患懇話会』に参加してきました。

肝疾患懇話会という名の通り、B型肝炎とC型肝炎についての講演でした。

B型肝炎の演者は、大阪医療センターの三田英治先生です。10年以上前から非常にお世話になっている三田先生ですが、ご講演を拝聴するのはそういえば初めてのような気がします。B型肝炎に対する核酸アナログ治療についての話題が中心でした。

これまで核酸アナログはエンテカビルを主に使っていましたが、今後はHBs抗原陰性化率が高く耐性ウイルスの発現が少ないテノホビル系が主流となり、その中でも腎機能障害が少ないTAFに変えていくべきという趣旨でした。現在TAFは投与期間の制限があるため、忙しくて来院できない患者さんには処方しにくい状態です。長期投与が可能となればTAFに切り替える機会が増えるかもしれません。

今後の展望としてB型肝炎ワクチンやTLR7アゴニストの話題もでました。これらはインターフェロン以外で免疫系に作用するB型肝炎治療薬として期待されているとのことでした。核酸アナログと併用できればHBs抗原の陰性化がより高率に得られる可能性もあります。

 

次に大阪大学の竹原教授がC型肝炎治療について講演されました。

C型肝炎治療は直接作用型抗ウイルス薬(DAA)の登場により95%以上のウイルス排除率が得られるようになりました。20年前を考えると95%の患者さんでウイルスが排除可能となったことは夢のようですが、今後残された課題として、非代償性肝硬変患者に対する治療・ウイルス排除後の発がん・DAA治療不成功例(耐性ウイルスを持つ症例)などが挙げられます。これからも新たな薬剤が登場し、課題が一つ一つ解決されるものと思われます。

 

講演会の後の懇親会では、関西労災病院の林院長・萩原副院長、竹原教授に近況を報告しました。今後も良い報告をできるよう頑張りたいと思います。