肝臓

検診でC型肝炎と言われました。受診後の流れを教えてください。

検診ではHCV抗体(C型肝炎に感染した時に体内でできる抗体)を測定します。これが陽性の場合に精密検査を受けるよう指示されます。この場合、血液検査で現在体内にC型肝炎ウイルスが存在するかを調べます。また肝機能の評価も必要です。症状がなくても肝炎が進行している場合もありますので、超音波検査で肝臓の状態を評価します。

ウイルスが存在し、肝炎がある場合はウイルスを排除する治療を行います。現在は8週間から12週間の内服治療でほぼ100%ウイルスの排除が得られます。

C型肝炎ウイルスはどのように感染しますか?

C型肝炎ウイルスに感染した血液が、未感染者の血液に入ることで感染します。感染経路の一つが垂直感染、つまり母親から子供への母子感染です。出産時に産道を通る際に感染の可能性がありますが、その頻度は5-10%と言われています。

もう一つの感染経路が水平感染です。C型肝炎ウイルスに感染した方からの輸血、血液製剤などが原因となりますが、現在では対策が取られていてほとんど発生していません。C型肝炎ウイルスに感染した方に使用した注射針の針刺し事故、入れ墨やピアスの針の使い回しも原因となります。

検診で肝機能が悪いと言われました。どうしたらいいですか?

AST/ALT/γGTPなどの数値が上昇している場合、検診では肝機能が悪いと言われます。これらの項目は肝臓の細胞に含まれる酵素で、細胞が壊れると血中に出てきて数値が上昇します。まずは血液検査や超音波検査で肝臓の細胞が壊れる原因を調べます。この原因にはB型肝炎、C型肝炎、脂肪肝、アルコール性肝障害、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎などがあります。原因によって治療方針を決めます。

脂肪肝

脂肪肝の原因は?

肝臓に脂肪が多くたまった状態が脂肪肝です。脂肪肝には、お酒を飲み過ぎた人がなるアルコール性の脂肪肝と、お酒をあまり飲んでいないのに肝臓に脂肪がたまってしまう非アルコール性の脂肪肝があります。

脂肪肝と言われました。放っておいてもいいですか?

脂肪肝のうち、肝臓に炎症を起こすタイプのものがあります。お酒の飲み過ぎは脂肪肝にとどまらず、肝炎や肝硬変になることがよく知られていますが、お酒をあまり飲んでいない非アルコール性の脂肪肝の人でも同じように肝炎が起こり肝臓の病気が進行してしまうことがあります。このような場合放っておくと肝硬変となるため、治療が必要です。

NAFLD/NASHについて教えてください

非アルコール性の脂肪肝から脂肪肝炎や肝硬変に進行した状態までを含む一連の肝臓病のことを「非アルコール性脂肪性肝疾患」(英語表記nonalcoholic fatty liver diseaseから「NAFLD(ナッフルディー)」)といいます。
つまり、NAFLDはアルコールを除くいろいろな原因で起こる脂肪肝の総称です。その多くは、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧を伴っていて、メタボリックシンドロームの肝臓病と考えられています。

NAFLDのうち80~90%は長い経過をみても脂肪肝のままで、病気はほとんど進行しません。しかし、残りの10~20%の人は徐々に悪化して、肝硬変に進行したり、なかには肝がんを発症したりすることもあります。
この脂肪肝から徐々に進行する肝臓病のことを「非アルコール性脂肪肝炎」(英語表記nonalcoholic steato-hepatitisから「NASH(ナッシュ)」といいます。

NAFLD/NASHの症状を教えてください

肝臓は症状の出にくい臓器ですので、脂肪肝の状態では症状はほとんどありません。NASHになっていても、肝硬変でなければ自覚症状はない場合が多いです。肝硬変となり肝臓の働きが低下すると、黄疸がでたり腹水がたまったりすることがあります。

NAFLD/NASHの治療について教えてください

NAFLDは、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧を伴うことが多く、またメタボリックシンドロームとも密接に関連しています。このためメタボリックシンドロームに対する治療を行いつつ、肝硬変への進行を防ぐ必要があります。
このため肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などに対して食事療法、運動療法などにより治療することが中心となります。単なる脂肪肝(NAFL)の場合は、NASHを発症していないかを注意深く確認しながら、食事療法や運動療法などの日常生活に関する取り組みを中心に治療します。NASHの患者さんで肥満がある場合には、まずは体重の5-7%を目安に減量することが目標となります。

NAFLD/NASHの治療に使う薬はありますか?

NAFLD/NASHに対する治療の基本は食事療法・運動療法ですが、効果が不十分な場合には薬による治療を考えます。

抗酸化作用があるビタミンEや、インスリンの効きをよくする作用のある糖尿病のお薬などがNASHの患者さんの炎症を抑える効果がありますが、肝硬変への進行や肝がんの発症を防ぐことが示された薬はありません。

ピロリ菌

ピロリ菌にはどのように感染するのですか?

人から人への経口感染(口移しなど)や井戸水などの水からの感染がほとんどです。多くは5歳くらいまでの幼少期に感染します。現在は衛生状態が改善していますので、感染率は低下しています。

ピロリ菌に感染するとどうなるのですか?

ピロリ菌が胃に感染すると胃に炎症を引き起こし、年齢とともに胃粘膜が萎縮していきます(粘膜が薄くなる)。胃粘膜の炎症が持続すると、胃がんの発生リスクが高くなることがわかっています。

ピロリ菌の除菌前に胃カメラは必要ですか?

ピロリ菌を除菌するためには、内視鏡(胃カメラ)で”慢性胃炎”や”胃潰瘍””十二指腸潰瘍”と診断される必要があります。このため除菌前の胃カメラは必須です。

ピロリ菌除菌が成功したか確認するのに胃カメラは必要ですか?

ピロリ菌除菌後の確認は、尿素呼気試験・便中ピロリ菌抗原など内視鏡を使わない方法で調べることが可能です。

ABC検診

ABC検診とは何を調べているのですか?

ABC検診は血液検査でピロリ菌に対する抗体と、胃の炎症や萎縮の度合いを反映するペプシノーゲンを測定し、その組み合わせから胃がん発生のリスクを分類し評価する検診です。

結果によりA群、B群、C群、D群に分類されます。A群→B群→C群→D群の順に胃癌のリスクが高くなります。

ABC検診でA群でした

A群はピロリ菌に対する抗体が陰性で、胃の萎縮もない状態です。胃癌のリスクが最も低いグループです。自覚症状がなければ内視鏡検査の必要はありません。

ABC検診でB群・C群でした

B群、C群はいずれもピロリ菌に対する抗体が陽性です。B群はペプシノーゲン法が陰性、すなわち胃粘膜の萎縮が少ないグループで、C群は陽性、胃粘膜の萎縮があるグループです。B群・C群とも内視鏡検査を行い胃炎が認められれば、ピロリ菌の除菌が勧められます。

また除菌後も定期的な内視鏡検査が必要です。

ABC検診でD群でした。ピロリ菌はいないのですか?

D群は胃粘膜の萎縮は認められますが、血中のピロリ菌に対する抗体が陰性の群です。胃粘膜の萎縮が高度に進行すると、抗体が陰性となることがあります。ピロリ菌が自然に排除された場合や、加齢による影響が考えられます。

D群となった場合は内視鏡検査を行います。胃炎が認められれば、抗体検査以外の検査でピロリ菌の有無を調べます。陽性なら除菌治療を行います。

また除菌後も定期的な内視鏡検査が必要です。

大腸ポリープ

大腸がん検診で陽性でした。がんがあるのでしょうか?

大腸がん検診は便に血液が混じっていないかを調べています。この検査で陽性の方のうち、実際にガンがある確率は3-5%程度と言われています。ガンがなくても、切除の必要のあるポリープが見つかることは多かったり、他の病気が見つかることもありますので、大腸がん検診で陽性の場合は内視鏡による検査が必要です。

大腸がんを予防する方法はありますか?

大腸がんの発生と食生活には密接な関係があるといわれています。

動物性の高脂肪、高たんぱくにかたよった食事、繊維食の不足が大腸がんのリスクをあげる食事です。逆に穀物、豆類の繊維食、チーズ、牛乳、魚類の良質の蛋白質をバランスよくとることがリスクを低下させます。便秘にならないように心がけることも必要です。

海藻類やこんにゃくは繊維が多く、排便も促すため積極的にとることが勧められます。

また運動によって大腸がんのリスクは減少することが示されています。

大腸内視鏡検査でがんの元であるポリープを切除することも重要です。

大腸ポリープとはどのようなものですか?

大腸粘膜上の隆起した病変をポリープといいます。ポリープは腫瘍性と非腫瘍性に分けられます。腫瘍性ポリープには腺腫とがんがあります。腺腫は大腸がんになる可能性があるので、切除することで大腸がんを予防することができます。

大腸ポリープがあるとどのような症状がでますか?

小さい大腸ポリープはほとんど症状がでません。自覚症状が出るのは、大きなポリープが肛門の近くにできることで腸閉塞を起こしたり、血液の混じった便がでるような時です。

症状がでないためがん検診を受けるか、ご家族に大腸がんや大腸ポリープと診断された方がいる場合は検査を受けた方がよいでしょう。

大腸ポリープはどのように治療するのですか?

内視鏡検査の際にポリープが見つかるとその場で切除することができます。当院では『ポリペクトミー』または『粘膜切除術(EMR)』という方法を用いて切除しています。いずれもポリープにスネアという金属製の輪をかけて徐々に絞って切除します。

大きなポリープに対しては『内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)』という方法もありますが、これは入院が必要となりますので、入院の可能な病院に紹介します。

胆石

胆石はどうしてできるのでしょうか?

胆石は主にコレステロール胆石と色素胆石に分けられます。

コレステロール胆石は名前のとおり、コレステロールを主成分とした胆石です。胆汁のなかのコレステロール濃度が高いとできやすいと言われています。欧米ではコレステロール胆石ができやすい人として、40歳代(Forty)、女性(Female)、肥満(Fatty)、白人(Fair)、多産(Fecund)が知られていて、頭文字をとって『5F』と言われています。この他、脂肪の代謝に異常のある人、妊娠、急激なダイエット、胃切除手術後などもコレステロール胆石の発生に関連があることがわかっています。

色素胆石のなかで最も多いビリルビンカルシウム石は細菌の感染が原因です。細菌感染が関連するため衛生状態の悪い国に多く見られます。

胆石があるとどのような症状がおこりますか?

胆石の症状には腹痛、悪心、嘔吐などがあります。

胆石による腹痛を胆石発作と呼ぶことがあります。これは食後、特に脂肪の多い食事を食べた後に起こることが多いといわれています。痛みの場所はみぞおちから右の上腹部で、背中や右肩が痛くなることもあります。

また胆石があるからといって、かならず痛みが出るとは限りません。

痛みがなくても胆石は手術するほうがよいのでしょうか?

胆石による痛みがある場合はなんらかの治療が必要になります。痛みがない場合には、基本的に手術は必要ありません。

胆石を薬で溶かすことはできるのでしょうか?

コレステロール胆石は薬で溶かすことができる場合があります。レントゲンに写らない胆石で大きさが15mm未満の小さなものなら、胆のうの働きが正常であれば溶けます。薬の効果が出るには6〜12ヶ月かかりますので、少なくともその期間は薬を飲み続ける必要があります。