最近便秘が話題です|その1

最近便秘治療が話題です。

その理由の一つ目は昨年10月に『慢性便秘症診療ガイドライン』(以下ガイドライン)が発表されたこと、もう一つが便秘に対する新しい治療薬が発売されることです。

 

ガイドラインでは便秘を「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義しています。

ですので1日1回以上便が出ていても、快適に出ていないと感じればそれは便秘ということになります。

 

またガイドラインでは慢性便秘症の分類を、まず「器質性」と「機能性」に分け、器質性を「狭窄性」と「非狭窄性」に分けています。

狭窄性で重要なのは大腸がんです。

もともと便秘でない人が便秘となった場合、大腸がんがないことを確認する必要があります。

非狭窄性と機能性はさらに、症状により「排便回数減少型」と「排便困難型」に分けられます。

 

治療としては

  1. 生活習慣の改善
    • 食事、運動、飲酒、睡眠など
  2. 内服薬による治療
    • プロバイオテクス
    • 膨張性下剤
    • 浸透圧性下剤
    • 刺激性下剤
    • 上皮機能変容薬
    • 消化管運動賦活薬
    • 漢方薬
    • バイオフィードバック療法
      • 機能性排便障害に対して
  3. 外用薬による治療
    • 坐剤
    • 浣腸
  4. 摘便
  5. 逆行性洗腸法

 

などがあります。

 

基本的な治療としては浸透圧性下剤である酸化マグネシウムや上皮機能変容薬を使用しつつ、漢方薬、消化管運動賦活薬を適宜組み合わせるという感じです。

どうしても便がでない場合は刺激性下剤(センノシドなど)で対応します。

 

 

 

長くなりましたので、もう一つの理由である新しい治療薬については次回掲載します。

大腸内視鏡検査で大腸がんを減らせるの?

大腸内視鏡検査行うことによって大腸がんのリスクを減らすことが可能なのでしょうか。

最近イギリスの医学雑誌に発表された論文では大腸内視鏡検査を行うことで大腸がんによる死亡を減らすことが示されました。

Doubeni CACorley DAQuinn VP, et al
Effectiveness of screening colonoscopy in reducing the risk of death from right and left colon cancer: a large community-based study

 

アメリカの民間保険に加入している1,800,000人以上の患者データを使った研究です。1,800,000人のうち大腸がんで死亡した人が1,747人存在しました。その人たちと年齢、性別、人種、教育歴などが一致するように大腸がんにかからなかった人3,460人を抽出し、大腸がんで死亡した人と比較しました。

結果ですが

内視鏡検査あり/なしのオッズが

 大腸がん患者  24/1,358

 非がん患者   120/2,310

ですので、オッズ比が約0.34となり(論文では調整が入るためか0.33となっています)、内視鏡検査をうけることによって大腸がんで死亡する確率を67%減らすことができるというものです。

 

非常に多数の患者さんのデータから集計していますので、信頼性は高いのではないかと思われます。

一人でも大腸がんの方が減るように、内視鏡検査を受けていただきたいと思います。

C型肝炎ウイルスを排除すると。。。

C型肝炎ウイルスはその名の通り肝臓に炎症を起こしますが、実は肝炎だけでなく様々な病気の原因となります。

 

例えば。。。

リンパ増殖性疾患:クリオグロブリン血症・悪性リンパ腫

自己免疫性疾患:膜性増殖性糸球体腎炎・慢性甲状腺炎・シェーグレン症候群

代謝疾患:糖尿病

心疾患:拡張型心筋症・肥大型心筋症・不整脈原性右室心筋症・慢性心筋炎

皮膚・粘膜疾患:扁平苔癬・晩発性皮膚ポルフィリン症

などです。

あまりなじみのないものもありますが、いろいろな病気の原因となることがわかっていただけるかと思います。

 

このような病気を合併している場合C型肝炎ウイルスを排除することでその病状が改善することが期待されるのですが、免疫力を強くするインターフェロン治療ではかえって病状が悪化する恐れがあったため、ウイルスの排除が困難でした。

最近のインターフェロンを使わない経口薬

による治療でウイルスを排除することで、このような病状が改善するのではないかと思っていましたが、実際に皮膚の慢性疾患である乾癬が改善したという報告がありました。

 

 

 

C型肝炎ウイルスを排除することで肝硬変への進行や肝臓がんの発生が抑えられることは明らかですが、今回の報告のようにその他の症状も抑えられることが徐々にわかってきました。

逆にウイルスを排除すると、コレステロール値が上昇することもあるようです。

治療が終わっても、全身をしっかり経過観察していくことが大切です。

新春大掃除

尼崎市武庫之荘のいとせクリニックです。

今日午前の診療が終わったあとに、清掃会社による清掃が行われました。

そんなに汚れていないだろうと思っていましたが…

 

 

 

仕上がりの写真です。床が光っています。

昨年10月に開院したばかりで、院内はまだまだ新しくピカピカだと思っていましたが、これを見るとやはりかなり汚れていたということですね。

 

綺麗になったクリニックで、来週からまた気持ちを新たにして診療していこうと思います。

 

C型肝炎の治療についての論文

あけましておめでとうございます。

 

C型肝炎に対する治療はC型肝炎ウイルスを体内から排除することですが、10年ほど前までは治療が成功する確率は1型という治りにくい型のウイルスで50−60%程度でした。最近では治療薬が進歩し、1型と2型では95%以上治療が成功するようになりました。

日本人ではほとんどが1型か2型ですが、まれに3型の方がおられます。労災病院時代にも2人が通院されていました。治療薬が進歩しましたが、3型には比較的効きにくく、ウイルスの排除は80−90%程度に止まっていました。

今月のアメリカの肝臓学会誌『Hepatology』に3型に対する治療成績の論文が掲載されています。

 

対象:3型のC型肝炎ウイルスに感染した慢性肝炎または肝硬変患者

治療法:glecaprevir/pibrentasvir (商品名:マヴィレット)を12週間または16週間投与

結果:

治療歴あり・肝硬変なし・12週:91%

治療歴あり・肝硬変なし・16週:95%

治療歴なし・肝硬変あり・12週:98%

治療歴あり・肝硬変あり・16週:96%

 

 

3型に対する治療効果は良好な結果でした。この論文はマヴィレットの発売元であるアッヴィがサポートしているということ、著者のうち何人かがアッヴィから研究費をもらっているということがありますので少し割り引いて考える必要はあるかもしれません。

いずれにしても3型に対するインターフェロンを使用しない治療薬はマヴィレットしかありませんので、実際の臨床でもこの論文と同じような効果が出るのであれば使ってみたいと思います。

 

Hepatologyの論文を全文読むには普通は料金がかかるのですが、この論文は無料で読むことができます。アッヴィは太っ腹ですね。

2018年になりました

あけましておめでとうございます。

いとせクリニックは1月6日から新年の診療を始めました。今年もよろしくお願いいたします。

 

新年を迎えるにあたり、院内の飾り付けをクリスマス風から和風に変えてみました。

 

クリスマスツリー風門松

 

 

 

受付もお正月風です

 

カウンターの置物

 

 

壁には注連縄

 

 

 

 

 

 

 

 

今日も早速内視鏡検査を受けられる方が来られました。

今年もお一人お一人と向き合いながら診療していきたいと思います。

 

脂肪肝とガン

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とはアルコールを飲まないにもかかわらず、アルコール性脂肪肝に似た変化が肝臓に起こる疾患です。単なる脂肪肝だけのこともあれば、脂肪性肝炎という肝炎を起こし肝硬変に進展することもあります。”脂肪肝”という単語から連想されるように、この疾患はいわゆる”メタボリックシンドローム”が肝臓に表れたものとも考えることができます。このため治療としては食事療法や運動療法で体重を減らし、肝臓に脂肪がたまらないようにすることが中心となります。

そのNAFLDですが、肝硬変に進展すると肝臓ガンが合併しやすいことはよく知られています。ところが最近NAFLDは、肝臓ガンだけでなく他のガンにもかかりやすいかもしれないと報告されました。

Association between non-alcoholic fatty liver disease and cancer incidence rate

 

これによると、NAFLDでは男性で大腸ガンのリスクが2倍、女性で乳ガンのリスクが2倍程度であったとのことです。

肝臓だけでなく、他の臓器も注意して診療する必要があります。

 

大腸内視鏡の先端キャップ

タイトルの”大腸内視鏡の先端キャップ”ですが、何のことかわからないと思います。このような形をしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これを内視鏡の先端に装着すると、こうなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜこのようなものを使うかといいますと、主に2つの理由があります。

まず内視鏡の挿入がやりやすくなります。先端から少し先に飛び出た部分で腸のヒダをめくることができるため、空気を入れずに内視鏡を進めていくことができます。そうすると患者さんの苦痛も少なく、内視鏡の時間も短縮できます。

2つ目は、観察がしやすくなり病変を見つけやすくなります。飛び出た部分で腸のヒダをめくりながら観察するので、ヒダの裏が観察しやすくなります。

最近このことを示した論文も発表されました。

Comparative Efficacy of Colonoscope Distal Attachment Devices in Increasing Rates of Adenoma Detection: A Network Meta-analysis

先端にキャップを装着するとポリープ(論文では腺腫となっています)の発見が1.1倍に増えるとのことです。

 

当院では大腸内視鏡検査の際、全例でキャップを装着して検査を行っています。検査についてはこちらをご参照ください>>